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【労働基準法】年次有給休暇の発生要件と付与日数【社労士】

 

 

 

はじめに

 

労働基準法に既定のある「年次有給休暇」の発生要件と付与日数、比例付与などについて記載します。

 

 

 

 

学習内容

 

年次有給休暇の発生要件とは

年次有給休暇の発生要件は、「雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤」すること。

 

年次有給休暇の発生要件

年次有給休暇の発生要件

 

労働基準法

年次有給休暇
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない

 

 

全労働日とは

全労働日とは「雇入れの日から起算して6箇月間の総歴日数」から「①所定休日、②代替休暇を取得した日、③労働者の責めに帰すべき理由とはいえない不就労日」を減じた日数のこと。

 

全労働日の算出式

全労働日の算出式

 

4月1日に入社し、年次有給休暇の付与日(基準日)が10月1日の場合、総歴日数4月1日~9月30日は183日、所定休日数を24日とすると全労働日は159日となる。159日の8割は127.2日なので、出勤日が128日あれば年次有給休暇が付与される。

 

 

 

 

出勤日とは

出勤日とは「労働日のうち出勤した日」に「出勤したとみなす休業日」を加えた日数のこと。

「出勤したとみなす休業日」には「①業務上の理由による負傷や疾病で療養のために休業した期間、②育児休暇の期間、③介護休暇の期間、④産前産後の休業期間、⑤年次有給休暇の取得日、⑥労働者の責めに帰すべき理由とはいえない不就労日であって全労働日算出式の③に該当しないもの」が含まれる。

 

出勤日の算出式

出勤日の算出式

 

労働基準法

年次有給休暇
第三十九条 ⑩ 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第一号に規定する育児休業又は同条第二号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間は、第一項及び第二項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす

 

 

年次有給休暇の付与日数

年次有給休暇は6箇月間(0.5年)継続勤務すれば10労働日分付与される。

さらに1年毎に1労働日が加算されて、1.5年で11労働日分、2.5年で12労働日分が付与される。

3.5年目からは2労働日が加算されて、3.5年で14労働日、4.5年で16労働日、5.5年で18労働日が付与される。

6.5年目以降は20労働日の年次有給休暇の付与で頭打ちとなる。

 

年次有給休暇の付与日数

年次有給休暇の付与日数

 

年次有給休暇は付与日(基準日)に付与されるので、その後途中で労働者が退職しても日数を変更することはできない。

 

労働基準法

年次有給休暇
第三十九条 ② 使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては、当該初日以後の一年間においては有給休暇を与えることを要しない。

六箇月経過日から起算した継続勤務年数 労働日
一年 一労働日
二年 二労働日
三年 四労働日
四年 六労働日
五年 八労働日
六年以上 十労働日

 

 

 

 

 

 

 

年次有給休暇の比例付与

以下の労働者については、年次有給休暇は比例付与される(少なくなる)。

ただし1週間の所定労働時間が30時間以上の場合は比例付与の対象外。

  1. 1週間の所定労働日数が4日以下
  2. 1年間の所定労働日数が216日以下(週以外の期間によって所定労働日数が定められてる場合)

 

年次有給休暇の比例付与日数

年次有給休暇の比例付与日数

 

労働基準法

年次有給休暇
第三十九条 ③ 次に掲げる労働者(一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の有給休暇の日数については、前二項の規定にかかわらず、これらの規定による有給休暇の日数を基準とし、通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(第一号において「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の一週間の所定労働日数又は一週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とする。
一 一週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者
二 週以外の期間によつて所定労働日数が定められている労働者については、一年間の所定労働日数が、前号の厚生労働省令で定める日数に一日を加えた日数を一週間の所定労働日数とする労働者の一年間の所定労働日数その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める日数以下の労働者

 

 

年次有給休暇の時効

年次有給休暇は2年で時効となる。

例えば2022年10月1日に付与された場合は、2024年9月30日まで有効である。

2022年10月1日から9月30日までに取得しなかった年次有給休暇は、2024年9月30日まで繰り越しされる。

 

労働基準法

(時効)
第百十五条 この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。

 

 

 

 

 

 

 

時間単位の年次有給休暇

労使協定により時間単位の有給休暇を付与できるようになる。

 

労働基準法

年次有給休暇
第三十九条 ④ 使用者は、当該事業場に、労働者過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第一号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、前三項の規定による有給休暇の日数のうち第二号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる
一 時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲
二 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(五日以内に限る。)
三 その他厚生労働省令で定める事項

 

 

 

 

年次有給休暇取得時の賃金

労働者が年次有給休暇を取得した場合は、賃金を受け取ることができる。

有給が「給料が支払われること」なので、当然といえば当然。

その金額は、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、以下のいずれかで決まる。

  1. 平均賃金
  2. 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
  3. 標準報酬月額の三十分の一に相当する金額(労使協定による)

 

労働基準法

年次有給休暇
第三十九条 ⑨ 使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇の期間又は第四項の規定による有給休暇の時間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間又はその時間について、それぞれ、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十条第一項に規定する標準報酬月額の三十分の一に相当する金額(その金額に、五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。)又は当該金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。

 

 

参考資料

 

elaws.e-gov.go.jp

 

jsite.mhlw.go.jp

 

hcm-jinjer.com

 

さいごに

本記事の内容は筆者が学習したことを整理したものです。

記載内容につきまして一切の責任を負いません。